強制捜査(きょうせいそうさ)
強制捜査とは、相手の同意がなくても強制的に捜査の目的を達することができる処分をいい、強制処分とも呼ばれます。刑事訴訟法には、逮捕、勾留、捜索・差押え、検証などが定められています。
強制捜査の2つの歯止め
強制捜査には、人権への制約が大きいため、法律上2つの歯止めがかけられています。
| 原則 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 強制処分法定主義 | 強制の処分は、法律に特別の定めがある場合でなければ行えない | 刑訴法197条1項ただし書 |
| 令状主義 | 強制処分には、原則として裁判官があらかじめ発する令状を要する | 憲法33条・35条 |
逮捕には逮捕状、勾留には勾留状、捜索・差押えには捜索差押許可状、検証には検証許可状というように、強制処分には原則として裁判官の令状が必要です。これは、人権侵害のおそれがある処分を捜査機関だけの判断で行わせず、公平な立場の裁判官による事前のチェックを経させる意味があります。
任意捜査との違い
法律上の根拠を必要とすること、そして令状審査に服することが、任意捜査と異なる強制捜査の大きな特徴です。どちらに当たるかは、対象者の権利をどの程度実質的に侵害するかによって判断されます。
新しい捜査手法をめぐる論点
近時の捜査手法の中には、刑事訴訟法に明文の規定がなく、任意捜査として扱ってよいかが問題になるものがあります。かつて典型的だったのは電話の盗聴で、これについては平成11年に「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」(通信傍受法)が制定され、令状による傍受として立法的な手当てがされました。
その後も科学技術の進歩とともに新しい手法が現れています。たとえば、自動車などにGPS発信器を密かに取り付けて位置を把握するGPS捜査について、最高裁は、個人の意思を制圧して私的領域に侵入する強制処分に当たると判断したとされています。
参考条文
刑事訴訟法197条1項(強制処分法定主義)、憲法33条・35条(令状主義)、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律3条1項(傍受令状)
関連用語
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この記事の担当弁護士: 尾中 翔(愛知県弁護士会 / 弁護士法人中部法律事務所) → 当事務所の弁護士紹介はこちら
最終確認日: 2026年7月
※本記事の条文・手続の記載は、2026年7月時点で施行されている法令に基づきます。個別の事案については弁護士にご相談ください。