還付(かんぷ)

【定義】

還付とは、裁判所や捜査機関が押収した物を所有者等に返すことです。
 

【解説】

 差押え、提出命令、領置によって取得した物は、押収物として留置・保管されます(刑事訴訟法121条、222条)。押収物の所有者、所持者、保管者には押収品目録が交付されます(同120条)。この押収物について、留置の必要がなくなった場合には元の所有者等に還付しなければなりません(同123条)。留置の必要がまったくなくなったわけではないが、所有者等からの請求があって、一時的に返しても支障がないと思われる場合、仮還付もできます。起訴後は、被告人・弁護人が押収物を訴訟準備のためになるべく利用することができるように、検察官は還付・仮還付の活用を考慮しなければならないとされています(刑事訴訟規則178条の11)。
 押収物の中には、本人に返還されないものもあります。まず、刑法の規定により没収される場合があります(刑法19条)。また、被害者に返すべきことが明らかな盗品等は、被害者に還付します(刑事訴訟法124条)。
 

【参考条文】

刑事訴訟法第120条

 
押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者(第百十条の二の規定による処分を受けた者を含む。)又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない。
 
 

刑事訴訟法第121条

 
第1項 運搬又は保管に不便な押収物については、看守者を置き、又は所有者その他の者に、その承諾を得て、これを保管させることができる。
 
第2項 危険を生ずる虞がある押収物は、これを廃棄することができる。
 
第3項 前二項の処分は、裁判所が特別の指示をした場合を除いては、差押状の執行をした者も、これをすることができる。
 
 

刑事訴訟法第122条

没収することができる押収物で滅失若しくは破損の虞があるもの又は保管に不便なものについては、これを売却してその代価を保管することができる。
 
 

刑事訴訟法第123条

 
第1項 押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。
 
第2項 押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる。
 
第3項 押収物が第百十条の二の規定により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた記録媒体で留置の必要がないものである場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者とが異なるときは、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならない。
 
第4項 前三項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
 

刑事訴訟法第124条

第1項
押収した贓物で留置の必要がないものは、被害者に還付すべき理由が明らかなときに限り、被告事件の終結を待たないで、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、決定でこれを被害者に還付しなければならない。
第2項
前項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。
 
 

刑事訴訟規則第178条の11

 
検察官は、公訴の提起後は、その事件に関し押収している物について、被告人及び弁護人が訴訟の準備をするにあたりなるべくその物を利用することができるようにするため、法第二百二十二条第一項の規定により準用される法第百二十三条(押収物の還付、仮還付)の規定の活用を考慮しなければならない。
 
 

刑法第19条

 
第1項
 
次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物
 
第2項
 
没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、これを没収することができる。
 

【関連用語】

  • 捜索
  • 差押え
  • 押収
  • 領置
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