勾留(こうりゅう)
勾留とは、被疑者または被告人が逃亡したり証拠を隠したりするおそれがあるときに、その身体を継続して拘束する裁判上の処分をいいます(刑事訴訟法60条、被疑者については207条1項が準用)。逮捕に引き続いて行われることが多く、起訴前の段階では逮捕とあわせて1つの被疑事実について最大23日間続くことがあります(一定の重大事件ではさらに延長される例外もあります。)。
逮捕との違い
逮捕と勾留はどちらも身体を拘束する処分ですが、大きく違うのはその期間です。逮捕は逮捕から通算72時間以内という短時間の拘束であるのに対し、勾留はより長期にわたります。被疑者を勾留するには、原則として裁判官が被疑者本人から事情を聴いたうえで勾留状を発する必要があります(刑訴法61条、207条1項)。
被疑者を勾留できるのは、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつ①住居が定まらない、②罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある、③逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある、のいずれかにあたる場合です(刑訴法60条1項)。
勾留の期間
勾留は、起訴の前後で期間の扱いが変わります。
| 区分 | 期間 |
|---|---|
| 被疑者勾留(起訴前) | 原則10日。やむを得ない事由があるときは検察官の請求で延長でき、延長は通じて10日まで(刑訴法208条)。一定の重大事件ではさらに延長される場合があります(刑訴法208条の2) |
| 被告人勾留(起訴後) | 公訴提起の日から2か月。特に継続の必要があるときは1か月ごとに更新されますが、原則として更新は1回に限られます。ただし、一定の重罪事件や罪証隠滅のおそれがあるなどの場合には、複数回の更新が可能です。(刑訴法60条2項) |
逮捕の72時間と被疑者勾留の最大20日を合わせると、起訴までに1つの被疑事実について最大23日間身柄拘束が続く可能性があるということになります。
勾留からの早期解放
身柄拘束は仕事や家庭など社会生活に大きな影響を与えるため、弁護活動では勾留からの早期解放が重要な目標の一つになります。おもな手段には次のようなものがあります。
- 検察官に対し、勾留請求や勾留延長請求をしないよう働きかける
- 裁判官に対し、勾留請求や延長請求を却下するよう意見を述べる
- 勾留の理由や必要がなくなったとして勾留取消しを請求する(刑訴法87条)
- 入院や家族の事故など特別の事情を理由に勾留の執行停止を申し立てる(刑訴法95条)
- 勾留の裁判に不服があるとして準抗告を申し立てる(刑訴法429条)
- 起訴後は保釈を請求する
このほか、勾留の理由を公開の法廷で明らかにさせる勾留理由開示という手続もあります(刑訴法82条)。
勾留される場所と面会・接見
被疑者段階(起訴前)の勾留場所は、警察署の留置場であることがほとんどです。起訴後は拘置所に移されることが一般的です。ご家族や友人の面会は、時間・人数・差入れの可否などが施設ごとに異なり、捜査の状況によっては制限されることもあります。
これに対し、弁護人(弁護人になろうとする弁護士を含む)は、原則として立会人なく本人と接見できます(接見、刑訴法39条)。ただし起訴前は、捜査のため必要があるときに、接見の日時などが指定されることがあります(刑訴法39条3項)。ご家族からの依頼で、本人から事情を聴き、弁護人選任の意思を確認するために接見に行くこともあります。
なお、刑罰の一種である「拘留」(刑法9条・16条の軽微な自由刑)とは、読み方は同じでも別の制度です。ここでいう勾留は、あくまで捜査・裁判のための身体拘束を指します。
参考条文
刑事訴訟法39条(接見交通・接見指定)、60条(勾留の要件・期間)、61条(勾留質問)、82条(勾留理由開示)、87条(勾留の取消し)、95条(勾留の執行停止)、207条1項(被疑者勾留への準用)、208条・208条の2(被疑者勾留の期間・延長)、429条(準抗告)
関連用語
いまお困りの方へ
ご家族が勾留された方へ — 勾留は最大23日間に及ぶことがあり、早い段階での対応が身柄解放につながります。
- 早期の身柄解放を求めたい方 → 釈放・保釈してほしい
- 本人と至急会いたい方 → 接見・面会したい
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この記事の担当弁護士: 本田 昭夫(愛知県弁護士会 / 弁護士法人中部法律事務所) → 当事務所の弁護士紹介はこちら
最終確認日: 2026年7月
※本記事の条文・手続の記載は、2026年7月時点で施行されている法令に基づきます。個別の事案については弁護士にご相談ください。