代用刑事施設(だいようけいじしせつ)
代用刑事施設とは、警察署の留置場を刑事施設(拘置所)の代わりに用いて、主に勾留中の被疑者を収容することをいいます。かつて「代用監獄」と呼ばれていた仕組みで、根拠となるのは刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容法)15条1項です。
「刑事施設」が原則、「留置場」は代用
刑事訴訟法では、勾留の場所は「刑事施設」とされ(刑訴法64条1項)、本来は全国の拘置所などに収容することが想定されています。一方で刑事収容法15条1項は、勾留される者などを「刑事施設に収容することに代えて」警察署の留置場に留置できると定めており、これが代用刑事施設の直接の根拠です。
もっとも、留置場に代用収容できる対象には限りがあります。刑事収容法15条1項は、代用の対象を主に逮捕・勾留された未決の被疑者・被告人としており、拘禁刑を執行中の受刑者や死刑の言渡しを受けて拘置されている者は、原則として代用の対象から除かれ、刑事施設に収容されます。このように未決拘禁者が主な対象となる一方で、捜査中の被疑者については広く留置場を利用する運用が一般的になっています。
「代用監獄」から「代用刑事施設」へ
もともとこの仕組みは監獄法のもとで「代用監獄」と呼ばれていました。監獄法は段階的に改められ、2005年(平成17年)に受刑者の処遇に関する法律が制定され、2006年(平成18年)の改正で未決拘禁者や代用収容に関する規定が加えられて「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」となり、2007年(平成19年)に全面施行されました。この過程で「監獄」という用語が「刑事施設」に改められ、あわせて呼び名も「代用刑事施設」となりました。制度としての中身は連続しています。
捜査と留置を分ける仕組み
留置場が広く使われる理由は、取調べなど捜査の便宜と、弁護人との接見のしやすさの両面にあります。もっとも、捜査機関が自ら身柄を管理しながら取調べを続けることには、以前から懸念も指摘されてきました。
そこで刑事収容法は、留置業務を担当する部署を捜査部門から分け、留置担当官はその留置場に留置されている被留置者の犯罪捜査に従事してはならないと定めています(刑事収容法16条3項)。留置と捜査を組織上分離することで、身柄の管理が捜査の一手段になってしまわないよう歯止めをかける趣旨です。
参考条文
刑事訴訟法64条1項(勾留の場所)、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律3条・14条・15条1項(代用の根拠)・16条3項(捜査と留置の分離)
出典:e-Gov法令検索 刑事訴訟法/刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
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最終確認日: 2026年7月
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