親告罪(しんこくざい)
親告罪とは、被害者などによる告訴がなければ検察官が起訴できない犯罪をいいます。どの罪が親告罪にあたるかは、刑法などの個々の条文に定められています。告訴が起訴の条件になるため、被害者との示談によって告訴を取り下げてもらえれば、起訴を避けられる可能性があります。
どのような罪が親告罪か
親告罪は、被害者の意思を尊重すべき場合や、当事者間での解決が期待できる場合などに設けられています。代表的なものは次のとおりです。
| 罪名 | 根拠条文 |
|---|---|
| 名誉毀損罪・侮辱罪 | 刑法232条 |
| 器物損壊罪 | 刑法264条 |
| 過失傷害罪 | 刑法209条2項 |
| 一定の親族間で犯された窃盗罪など | 刑法244条2項 |
なお、配偶者・直系血族・同居の親族との間で犯された窃盗罪などは、そもそも刑が免除されます(刑法244条1項)。それ以外の親族との間の場合に、告訴が必要な親告罪として扱われます(同条2項)。
かつては強制わいせつ罪などの性犯罪も親告罪とされていましたが、平成29年(2017年)の刑法改正により非親告罪に改められ、告訴がなくても起訴できるようになりました。その後、令和5年(2023年)の改正では、これらの罪が不同意わいせつ罪・不同意性交等罪へと再編され、成立要件も見直されています。
告訴には期間の制限がある
親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を過ぎるとできなくなります(刑事訴訟法235条)。この期間を過ぎてからされた告訴は無効となり、起訴の条件を欠くことになります。
告訴の取下げと示談の関係
告訴は、起訴される前であれば取り消すことができます(刑事訴訟法237条1項)。そのため親告罪では、被害者との示談を成立させ、あわせて告訴を取り下げてもらうことが、不起訴に向けた重要な弁護活動になります。
一方、いったん起訴された後は告訴を取り下げることはできません(同項)。告訴を取り下げてもらうなら、起訴前の早い段階での対応が大切です。
告訴がないまま誤って起訴されてしまった場合には、裁判所は判決で公訴を棄却することになります(刑事訴訟法338条4号)。
参考条文
刑法232条(名誉毀損罪等)、244条(親族間の犯罪に関する特例)、264条(器物損壊罪等)、刑事訴訟法235条(告訴期間)、237条(告訴の取消し)、338条(公訴棄却の判決)
関連用語
いまお困りの方へ
親告罪で告訴を受けている方へ — 起訴される前に示談を成立させ、告訴を取り下げてもらえるかどうかが結果を大きく左右します。
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この記事の担当弁護士: 尾中 翔(愛知県弁護士会 / 弁護士法人中部法律事務所) → 当事務所の弁護士紹介はこちら
最終確認日: 2026年7月
※本記事の条文・手続の記載は、2026年7月時点で施行されている法令に基づきます。個別の事案については弁護士にご相談ください。