示談(じだん)
刑事事件における示談とは、加害者側が被害者と話し合い、謝罪や被害の弁償をして、被害者との間の問題を解決することをいいます。相互に譲歩して紛争を終わらせる内容であれば、法律上は民法の「和解契約」に当たり得ます(民法695条)。示談が成立しているかどうかは、起訴・不起訴の判断や量刑に影響する重要な事情です。
示談の進め方
示談は被害者との話し合いですから、まず被害者と連絡が取れなければ始められません。捜査段階では、警察官や検察官に示談を希望する旨を伝えて被害者への連絡を依頼し、被害者の同意が得られた場合には、弁護人限りで連絡方法が伝えられることがあります。
被害者の中には、被疑者本人とは連絡を取りたくないという方もいます。事案によっては、弁護人が被害者の連絡先や氏名を被疑者に知らせないという約束のもとで交渉を進めることもあります。連絡が取れたら交渉を行い、まとまれば示談書を作成し、被害者の署名・押印をもらいます。
示談書に入れる内容
示談書には、一般に次のような条項を入れます。ただし、必ずしも次の条項を入れなければならない訳ではありません。
- 被疑者の謝罪
- 被害弁償(示談金)の支払い
- 被害者の宥恕(ゆうじょ。加害者を許す意思)
- これ以上は互いに請求しないという清算条項
事案によっては、告訴の取下げ、被害届の取下げ、被疑者が今後被害者に接近しないという約束やその違約条項などを加えることもあります。告訴取下書や被害届取下書、示談金の領収書は、示談書とは別の書面として作成することがあります。
示談の効果
示談の効果は、起訴の前か後かで意味合いが変わります。
起訴前は、示談ができ次第その写しを検察官に提出し、不起訴を求める弁護人の意見とともに報告します。被害の弁償がされ、被害者が宥恕の意思を示していることは、検察官が起訴するかどうかを判断するうえで重要な情状として考慮されます(刑訴法248条)。とくに名誉毀損罪や器物損壊罪などの親告罪では、告訴の取下げが得られると、その罪について起訴できなくなります(親告罪では告訴が起訴の条件のためです)。
起訴後は、示談ができたことを示す資料を法廷に提出し、量刑の資料として考慮してもらいます。示談金の支払いと被害者の宥恕の意思は、ここでも重要な情状となります。ただし、前科がつくかどうかという点では、起訴前に不起訴となる場合と起訴後の場合とで大きな違いがあります。
参考条文
民法695条(和解)、刑事訴訟法248条(起訴便宜主義)
関連用語
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この記事の担当弁護士: 本田 昭夫(愛知県弁護士会 / 弁護士法人中部法律事務所) → 当事務所の弁護士紹介はこちら
最終確認日: 2026年7月
※本記事の条文・手続の記載は、2026年7月時点で施行されている法令に基づきます。個別の事案については弁護士にご相談ください。