任意出頭(にんいしゅっとう)
【定義】
任意出頭とは、捜査機関が被疑者または参考人に対して電話や呼出状等で警察署等へ呼出しを行い、呼び出された者がこれに応じる形で警察署等へ出頭することです。刑事訴訟法198条1項により認められています。
【解説】
任意出頭は、電話、呼出状の送付などの適当な方法で相手を呼び出して行います(犯罪捜査規範102条)。 任意出頭後、取調べが行われるのが通例ですが、この取調べに受忍義務はなく、いつでも中断や帰宅を求めることができます。これらを捜査官が妨害するようなことがあれば、任意同行と同様、実質的な逮捕であり違法と評価できる場合もあります。 また、任意出頭の前後を問わず、また任意の取調べ中であっても、弁護人の選任ができますし、いつでも連絡や面会を求めることができます。
「任意同行」の解説 も参照してください。
参考条文
刑事訴訟法第30条第1項
被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
刑事訴訟法第198条第1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
刑事訴訟法第223条
第1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
第2項
第198条第1項但書及び第3項乃至第5項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
犯罪捜査規範第100条
任意捜査を行うに当り相手方の承諾を求めるについては、次に掲げる事項に注意しなければならない。
1 承諾を強制し、またはその疑を受けるおそれのある態度もしくは方法をとらないこと。
2 任意性を疑われることのないように、必要な配意をすること。
犯罪捜査規範第102条
第1項
捜査のため、被疑者その他の関係者に対して任意出頭を求めるには、電話、呼出状(別記様式第七号)の送付その他適当な方法により、出頭すべき日時、場所、用件その他必要な事項を呼出人に確実に伝達しなければならない。この場合において、被疑者又は重要な参考人の任意出頭については、警察本部長又は警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。
第2項
被疑者その他の関係者に対して任意出頭を求める場合には、呼出簿(別記様式第八号)に所要事項を記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。
関連用語
- 任意捜査(にんいそうさ)
- 任意同行(にんいどうこう)
- 取調べ(とりしらべ)
- 逮捕(たいほ)
- 弁護人(べんごにん)
- 捜査機関(そうさきかん)
- 被疑者(ひぎしゃ)
- 参考人(さんこうにん)