送検(そうけん)
【定義】
送検とは、司法警察員が被疑者ないし事件を検察官に送致することです。
【解説】
検察官は、事件を起訴するかどうかの判断を一手に引き受けている国家機関です。そこで、犯罪の捜査が行われたならば、原則として全ての事件が検察官のもとに集まる仕組みになっています。
捜査は最初から検察官が行うこともありますが、多くの場合は警察官が検察官の指揮の下で行います。そこで、警察官から検察官へ事件を送致する手続きが必要になるのです。全ての事件が検察官に送致されるという原則のことを「全件送致主義」といいます。
ただ、例外として、一定の軽微な犯罪については警察官の判断で送検しなくてよいとする微罪処分の制度があります。微罪処分が許される犯罪は、あらかじめ検察官の指定により決まっています(刑事訴訟法246条但書)。
また、少年法により、被疑者が未成年の場合で罰金以下の刑に当たる犯罪については、逆送の余地もないので最初から検察官ではなく家庭裁判所に送致することとされており、これも全件送致主義の例外です。
送検は被疑者が逮捕されているかどうかによって、身柄送検と書類送検とに分けられます。
①身柄送検
被疑者が逮捕されていてさらに引き続き留置の必要があると思料する場合、刑事訴訟法203条1項により、逮捕から48時間以内に送検しなければなりません。203条は逮捕状による逮捕(通常逮捕)に関する規定ですが、緊急逮捕・現行犯逮捕にも準用されています(刑事訴訟法211条、216条)。
②書類送検
被疑者が逮捕されていない在宅事件の場合には、一通り捜査を終えた後すみやかに送検します(刑事訴訟法246条本文)。
【参考条文】
刑事訴訟法第203条
第1項 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
刑事訴訟法第246条
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
少年法第20条
第1項 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
少年法第41条
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
【関連用語】
- 起訴(きそ)
- 捜査機関(そうさきかん)
- 微罪処分(びざいしょぶん)
- 逆送(ぎゃくそう)
- 通常逮捕(つうじょうたいほ)
- 緊急逮捕(きんきゅうたいほ)
- 現行犯逮捕(げんこうはんたいほ)
- 身柄事件(みがらじけん)
- 在宅事件(ざいたくじけん)
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