身柄事件(みがらじけん)
【定義】
身柄事件とは、逮捕・勾留により被疑者の身柄を拘束して捜査を行う事件のことです。
【解説】
身柄拘束のための強制処分である逮捕と勾留には厳格な期間制限があり、通じて23日(内乱・騒乱等の一部の罪についてのみ28日)を超えることはありません。
身柄事件では、逮捕からこの期間が経過するまでの間に起訴・不起訴が決定され、起訴ならば引き続き裁判の段階へ、不起訴ならば釈放という流れになります。 いうまでもなく、身柄拘束は被疑者にとって大変な負担となり、職も失うことが少なくありません。
まず、外界との接触を保つために、そして早期の身柄解放に向けて活動するために、弁護人の援助が大変重要です。
被疑者には弁護人との接見交通権があり、立ち合い等の制限なく面会ができます。
逮捕された人が1回だけ無料で弁護士を派遣してもらえる当番弁護士の制度や、資力のない被疑者・被告人が国の負担で弁護人を選任できる国選弁護人の制度もありますので、まずはできるだけ早期に弁護士の助言を得るべきです。
【参考条文】
刑事訴訟法 第203条第1項
司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
第204条第1項
検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致された被疑者を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
第205条
第1項 検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
第2項 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。
第208条
第1項 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第2項 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。
第208条の2
裁判官は、刑法第二編第二章 乃至第四章 又は第八章 の罪にあたる事件については、検察官の請求により、前条第2項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて5日を超えることができない。
【関連用語】
- 逮捕(たいほ)
- 勾留(こうりゅう)
- 被疑者(ひぎしゃ)
- 被告人(ひこくにん)
- 強制捜査(きょうせいそうさ)
- 起訴(きそ)
- 不起訴(ふきそ)
- 弁護人(べんごにん)
- 接見(せっけん)
- 当番弁護士(とうばんべんごし)
- 国選弁護人(こくせんべんごにん)