接見(せっけん)
【定義】
接見とは、逮捕・勾留中の被疑者・被告人が外部の者と面会することです。弁護人が接見する場合立会人はなく、また原則として時間や回数も自由です。
【解説】
身柄拘束中の被疑者・被告人は外界と遮断された状態にあり、面会や手紙を通じてしか外部とやりとりすることができません。
家族等一般人との面会には立会人がつき、時間や回数などに制約がある一方、弁護人とは原則としていつでも接見が可能で、家族等への伝言を聞くこともできます。
特に逮捕当日〜翌々日ぐらいまで(勾留される前まで)は弁護人しか面会できません。
勾留に接見禁止がつくこともあり、この場合家族等との面会は接見禁止が解除されるまでできなくなります。
これらのことから、弁護人との接見は外部への重要な窓口といえます。
弁護人との接見には立会人がつかず、秘密を守れます。
接見を通じて、不当な取調べを受けていないかを弁護人がチェックすることも大切です。
特に本人が犯罪事実を否認している場合、弁護人の支えが必要です。
起訴後になると、被告人質問の打合せなど、公判の準備のためにも十分な接見が欠かせません。
被疑者・被告人から弁護人に接見希望の連絡を取りたい場合は、施設を通じて電話をしてもらえる場合があります。
受任前の弁護士は、「弁護人となろうとする者」として、弁護人と同様に自由かつ秘密の接見ができます。
1回のみ無料で接見に来てもらえる当番弁護士の制度や、資力のない場合に利用できる国選弁護人の制度もあります。
接見に際して、書類や物を差入れ(外部から入れること)または宅下げ(外部へ出すこと)することもできます。
通常、逮捕・勾留された被疑者から弁護人の選任を受ける場合には弁護人選任届を差入れ・宅下げでやり取りし、速やかに検察官等に提出します。
その他、被疑者が書いた反省文や被害者への謝罪文を宅下げして弁護活動に利用することがあります。
刑事訴訟法39条3項は、弁護人との接見について、検察官等が日時、場所、時間の指定をすることを認めています(接見指定)。
これは被疑者・被告人の自由な接見交通権の制約となるものですが、捜査の必要上やむをえない調整として認められており、過去には広く活用されてきました。
しかし、上述のような接見交通権の重要性の認識が広まるとともに、検察・警察の側で次第に抑制的な運用をするようになり、現在ではあまり例が見られなくなっています。
【参考条文】
日本国憲法第34条
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
日本国憲法第37条3項
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
刑事訴訟法第39条
1項
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
2項
前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。
3項
検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。
刑事訴訟法第81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第118条
1項
未決拘禁者の弁護人等との面会の日及び時間帯は、日曜日その他政令で定める日以外の日の刑事施設の執務時間内とする。
2項
前項の面会の相手方の人数は、三人以内とする。
3項
刑事施設の長は、弁護人等から前二項の定めによらない面会の申出がある場合においても、刑事施設の管理運営上支障があるときを除き、これを許すものとする。
4項
刑事施設の長は、第一項の面会に関し、法務省令で定めるところにより、面会の場所について、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要な制限をすることができる。
5項
第114条の規定は、未決拘禁者と弁護人等以外の者との面会について準用する。この場合において、同条第2項中「一月につき二回」とあるのは、「一日につき一回」と読み替えるものとする。
【関連用語】
- 逮捕(たいほ)
- 勾留(こうりゅう)
- 被疑者(ひぎしゃ)
- 被告人(ひこくにん)
- 弁護人(べんごにん)
- 当番弁護士(とうばんべんごし)
- 国選弁護人(こくせんべんごにん)
- 接見禁止(せっけんきんし)