任意捜査(にんいそうさ)
【定義】
任意捜査とは、捜査手段のうち、強制を伴わないもののことです。尾行、張り込み、聞き込み、任意提出、任意の事情聴取などが典型です。
【解説】
捜査機関の捜査活動は、できるだけ強制捜査を避け、任意捜査によらなければならないという原則があります(任意捜査の原則)。
強制捜査は相手の意思に反してでも身柄を拘束したり、財産を差し押さえたりすることができるもので、強力な人権制約の側面がありますから、不必要に行うことはできないのです。
任意捜査では原則として相手の同意が前提となりますが、利益侵害の程度が軽微な場合には(尾行、張り込み等)同意が不要なこともありますし、逆に、同意があっても許されない捜査手法もあります。特に被疑者に同意を求めて警察署等に同行させる任意同行は、その態様や長さによっては実質的に逮捕と評価されて違法となる場合があります。
有形力の行使は、一般的には相手の意思を制圧する直接強制の手段であって任意捜査には馴染みません。
しかし、説得によってしばらくその場に留めおいたり、手首をつかむ程度の実力行使は、状況により任意捜査でも許されることがあります。
【参考条文】
刑事訴訟法197条1項
捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。 犯罪捜査規範99条 捜査は、なるべく任意捜査の方法によつて行わなければならない。
【関連用語】