緊急逮捕(きんきゅうたいほ)
【定義】
緊急逮捕とは、緊急の場合に逮捕状を事後的に請求することとして、先に犯人を逮捕することです。
法の定める厳格な要件を満たしている必要があります。
【解説】
刑事訴訟法210条1項の定める緊急逮捕の要件を簡単に説明すると、
⓵一定の重罪事件であること、
⓶嫌疑が濃厚であること、
③通常の手続きを踏む余裕がないほど緊急であること、
⓸逮捕後直ちに逮捕状を請求すること
です。
どれかを欠けば緊急逮捕が違法となり、その後の勾留請求が却下されるなどの影響があります。
たとえば⓸に関して、逮捕状請求が7〜8時間後になったことで違法と判断した判例もあります。
緊急逮捕の制度には、逮捕の令状主義を宣言した憲法33条に違反するのではないかという問題もありますが、判例は合憲と判断しています。
緊急逮捕の場合も、逮捕後の被疑事実告知、弁護人選任権告知、弁解録取などの手続きや、送致、勾留請求までの時間制限は通常逮捕と同様です。
勾留前でも弁護人の選任と接見は可能です。知り合いの弁護士がいなくても、当番弁護士の制度を利用して1回のみ無料で面会に来てもらうことができます。
【参考条文】
憲法第33条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
刑事訴訟法第210条
第1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第2項
第200条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。
刑事訴訟法第211条
前条の規定により被疑者が逮捕された場合には、第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。
【関連用語】
- 通常逮捕(つうじょうたいほ)
- 勾留(こうりゅう)
- 弁護人(べんごにん)