刑事犯罪集

往来危険による汽車転覆等罪(おうらいきけんによるきしゃてんぷくとうざい)

【法令・条文】

刑法第127条

第125条の罪を犯し、よって汽車若しくは電車を転覆させ、若しくは破壊し、又は艦船を転覆させ、沈没させ、若しくは破壊した者も、前条の例による。

同第125条

第1項
鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する。

第2項
灯台若しくは浮標を損壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

同第126条

第1項
現に人がいる汽車又は電車を転覆させ、又は破壊した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

第2項
現に人がいる艦船を転覆させ、沈没させ、又は破壊した者も、前項と同様とする。

第3項
前二項の罪を犯し、よって人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する。

【法定刑】

  • 無期懲役又は3年以上の懲役
  • 死刑又は無期懲役

【解説】

電汽車往来危険転覆等罪及び艦船往来危険転覆等罪とは、電汽車往来危険罪及び艦船往来危険罪(刑法第125条)の故意を持って行為し、現実に汽車・電車・艦船の転覆・沈没・破壊の結果が生じることによって成立する犯罪です。

本罪は、結果の重大性にかんがみ、上記の結果につき故意のある電汽車・艦船転覆等罪の場合と実質的に同視しようとするもので、同罪と同じ刑が科せられます。

本罪は人身の被害について規定していませんが、汽車等の転覆・沈没・破壊の結果、人を死亡させた場合には電汽車・艦船転覆等致死罪(刑法第126条第3項)が適用されます。

なお、同罪は刑法第126条の罪と異なり、人が現在しない客体に対しても成立する犯罪です。

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