往来危険罪(おうらいきけんざい)
【法令・条文】
刑法第125第1項
鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する。
刑法第125条第2項
灯台若しくは浮標を損壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
【法定刑】
- 2年以上の有期懲役
【解説】
電汽車往来危険罪(刑法第125条第1項)とは、鉄道・その標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせることによって成立する犯罪です。
「鉄道」には、軌道のほか、枕木、橋梁、トンネル等を含みます。
「標識」とは、信号機など、通行に必要な目標をいいます。
「その他の方法」とは、線路上に石等の障害物を置くこと、無人電車を暴走させることなどをいいます。
「往来の危険を生じさせた」とは、汽車等の衝突、転覆、脱線、破壊等その往来に危険な結果を生じさせるおそれのある状態を発生させることをいいます。
具体的には、線路沿いの土地を掘削した行為がこれに当たるとされます。
往来危険罪は、具体的な危険の発生を要する具体的危険犯です。
艦船往来危険罪(刑法第125条第2項)とは、灯台・浮標を損壊し、又はその他の方法により艦船の往来の危険を生じさせることをいいます。
「浮標」とは、水路の深浅その他艦船の航行上の安全を示す水上の標示物をいいます。
「その他の方法」とは、灯台の灯火を消すとか、艦船自体に工作するなどをいいます。
「艦船」については、規模ないし形状のいかんを問わず、櫓(やぐら)で進行する長さ4間2尺の木造船もこれに当たるとされます。