汽車転覆等及び同致死罪(きしゃてんぷくとうおよびどうちしざい)
【法令・条文】
刑法第126条
第1項
現に人がいる汽車又は電車を転覆させ、又は破壊した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
第2項
現に人がいる艦船を転覆させ、沈没させ、又は破壊した者も、前項と同様とする。
第3項
前二項の罪を犯し、よって人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する。
【法定刑】
- 汽車転覆 ・艦船転覆等罪:無期懲役又は3年以上の懲役(第1項、第2項)
- 汽車転覆 ・艦船転覆等致死罪: 死刑又は無期懲役(第3項)
【解説】
電汽車転覆・艦船転覆等罪(刑法第126条第1項・同条第2項)とは、現に人がいる汽車等を転覆などさせることによって成立する犯罪です。
同罪の客体は、人の現在する汽車・電車・艦船です。
「人」とは犯人以外の者をいい、実行行為の開始時に現在していれば足りるとされています。
汽車・電車の「転覆」とは、転倒を意味し、単に脱線しただけではこれに当たりません。
艦船の「転覆」とは、浮力を失ってはいないが横転し又は船底を上部に向けて水中にある状態をいいます。
「沈没」とは、浮力を失って沈んでいる状態をいいます。
「破壊」とは、それらの実質を概して交通機関としての機能の全部又は一部を失わせる程度に損壊することをいいます。
電汽車転覆・艦船転覆等致死罪(刑法第126条第3項)とは、電汽車転覆・艦船転覆等罪を行った結果、人が死亡することによって成立する犯罪です。
同罪の客体は「人」であり、汽車・電車・艦船内に現存している者に限らず、歩行者その他付近にいた者も含みます。
本罪の処罰は、原則として、死刑又は無期懲役が科せられる極めて重いものとなっています。