検察審査会(けんさつしんさかい)
【定義】
検察審査会とは、国民から選ばれた審査員が、検察官が行なった不起訴の判断の妥当性を審査する制度です。
【解説】
(1)検察審査会の意義
刑事事件について、犯人を裁判所に起訴する権利を公訴権といいます。国や時代によっては、民間人も公訴権を持つシステムがありますが、日本では検察官だけが公訴権を行使します。このことは日本の刑事司法の大原則の一つであり、「起訴独占主義」「国家訴追主義」といいます。
しかし、被害者その他の民間人の意向がまったく反映されないのは望ましくないので、国民の目で公訴権の行使をチェックし、ある程度民意を反映させる制度が設けられました。これが検察審査会です。
かつて、検察審査会の議決には検察官に対する拘束力がなく、民意によるコントロールとしては不十分な制度と指摘されてきましたが、平成16年に法改正があり、その権限が大きく拡充されました。
(2)制度の内容
検察審査会は全国の地方裁判所と地方裁判所支部の所在地に置かれ(検察審査会法1条)、それぞれ国民からくじで選ばれた11人の審査員から構成されています(同法4条)。
刑事事件について検察官の不起訴処分がなされた場合、その事件の被害者や告訴・告発・請求をした人は、検察審査会に審査の申立てをすることができます。申立てを受けた場合、または過半数の議決があった場合に検察審査会は審査を開きます(同法2条2項、3項)。審査では、検察官から資料の提出を求めたり証人尋問を行うなどして、不起訴が妥当だったかどうか検討し、議決をします。議決の種類は①起訴相当、②不起訴不当、③不起訴相当の3種類です(同法39条の5)。
①か②の議決があった場合、検察官は改めてその事件について処分を検討しなければなりません(同法41条)。その結果やっぱり不起訴とされた場合に、①と②の違いが現れます。②ではそのまま不起訴となりますが、①の場合は検察審査会が再度審査をし、再び起訴が相当だという判断に至ったときには「起訴議決」を行います(同法41条の6)。起訴議決が行われると、弁護士の中から検察官の役目をすべき者が指定され、その弁護士が公訴を提起して、検察官の代わりに裁判を行います(同法41条の9、41条の10)。
起訴議決は検察官の裁量と公訴権を排除して、その事件についての起訴を強制するもので、国家訴追主義・起訴独占主義の重要な例外となっています。
【参考条文】
刑事訴訟法第247条
公訴は、検察官がこれを行う。
検察審査会法
【関連用語】
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