横領(単純横領罪)(おうりょう・たんじゅんおうりょうざい)
【法令・条文】
刑法第252条
第1項
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
第2項
自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
【法定刑】
5年以下の懲役
【解説】
横領罪は、委託を受けて占有している他人の物(他人から頼まれて預かっている物やお金)を、自分のものにしてしまう犯罪です。
業務上の委託を受けて、物を横領した場合(業務上横領)や誰の占有でもない物を横領した場合(遺失物等横領・占有離脱物横領)との対比で、「単純横領罪」と呼ばれています。
なお、自分の物であっても、税務署や裁判所による差押えのために保管を命じられている場合などに、自分の物として処分等してしまう場合にも、横領罪が成立します(2項)。
横領罪は、未遂犯への処罰がありません。
また、親族相盗例(しんぞくそうとうれい)と呼ばれる、親族間での窃盗に関する特例の準用があります。これにより、親族間(配偶者、直系血族又は同居の親族)で行われた横領は、刑が免除されます(刑法第255条、第244条)。