往来妨害及び同致死傷罪(おうらいぼうがいおよびどうちししょうざい)
【法令・条文】
刑法第124条
第1項
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
第2項
前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
【法定刑】
- 往路妨害罪:2年以下の懲役または20万円以下の罰金
- 往路妨害致死傷罪:傷害の罪と比較して、重い刑
【解説】
往来妨害及び同致死傷罪とは、陸路・水路又は橋を損壊し又は閉塞して往来の妨害を生じさせること及びこれにより人を死傷させることによって成立する犯罪です。
同罪の客体は、陸路・水路・橋です。
「陸路」とは、公衆の通行の用に供される陸上の通路をいいます。
「水路」とは、艦船の通行の用に供される河川・運河・港口等をいいます。
「橋」には、河川等に架けられたもののほか、陸橋、桟橋等も含まれます。ただし、汽車・電車の通行のためだけに架設されたものは、往来危険罪の客体となるため、除かれます。
「損壊」とは、物理的に破壊することをいいます。
「閉塞」とは、有形の障害物を設けて遮断することをいいます。
「往来の妨害を生じさせた」とは、人、馬車、艦船等の通行が不可能ないし困難となる状況を作り出すことをいいます。このことから、往来妨害罪は、具体的な危険の発生を要する具体的危険犯となります。
往来妨害致死傷罪において、被害者である人は、通行人、道路工事の作業員等、誰であってもよいとされます。