恐喝(きょうかつ)
恐喝罪とは、暴行・脅迫を手段として相手を畏怖させ(こわがらせ)、財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得る(他人に得させる)犯罪で、法定刑は 10年以下の拘禁刑 です(刑法第249条)。相手の反抗を抑圧する程度にまで至ると、より重い強盗罪となります。本ページでは、構成要件、強盗罪・詐欺罪との違い、拘禁刑改正のポイントを整理します。
1. 恐喝罪とは — 全体像と拘禁刑改正
恐喝罪は、暴行・脅迫で相手を畏怖させ、その畏怖に基づいて財産を交付させる財産犯です。暴行・脅迫が「反抗を抑圧する程度」に達すると強盗罪になります。
恐喝罪は、暴行又は脅迫を手段として相手を畏怖させ、その畏怖に基づいて財物・財産上の利益を交付させる犯罪です(刑法第249条第1項が財物、第2項が財産上の利益)。ここでいう暴行・脅迫は、相手の反抗を抑圧するには至らない程度のものを指します。反抗を抑圧する程度に達した場合は、恐喝罪ではなく強盗罪の問題となります。
正当な権利の行使であっても(例えば貸したお金の取り立てなど)、その手段として社会通念上相当な範囲を超える暴行・脅迫を用いた場合には、恐喝罪が成立し得ると解されています。
令和4年法律第67号により、令和7年6月1日以降の行為には「懲役」に代わる新たな自由刑「拘禁刑」が言い渡されます。施行日前の行為は経過措置により従前どおり「懲役」となるため、判決書の刑種表記が事件により異なります。
2. 恐喝罪の法定刑と公訴時効
法定刑は10年以下の拘禁刑です。未遂も処罰され、公訴時効(起訴できる期限)は7年です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 罪名 | 恐喝罪 |
| 法令・条文 | 刑法第249条 |
| 法定刑 | 10年以下の拘禁刑(経過措置中の事件は懲役) |
| 未遂 | 処罰される(刑法第250条) |
| 公訴時効 | 7年(刑事訴訟法第250条第2項第4号) |
| 親族間の特例 | 親族相盗例の準用あり(刑法第251条・第244条) |
恐喝罪には未遂を処罰する規定があり、暴行・脅迫を加えたものの財産の交付に至らなかった場合も未遂罪の対象となり得ます(刑法第250条)。また、配偶者・直系血族又は同居の親族の間で行われた恐喝については刑が免除され、それ以外の親族との間では告訴がなければ起訴できません(刑法第251条が第244条を準用)。
3. 恐喝罪の構成要件 — 4つの要素
恐喝罪の成立には、(1)恐喝行為(暴行・脅迫)、(2)相手の畏怖、(3)畏怖に基づく財産の交付(処分行為)、(4)故意・不法領得の意思が必要です。
恐喝行為(暴行・脅迫)
相手を畏怖させる手段としての暴行又は脅迫です。反抗を抑圧するには至らない程度のものである点で、強盗罪の暴行・脅迫と区別されます。
相手の畏怖
恐喝行為によって相手が畏怖(恐怖・困惑)したことが必要です。
畏怖に基づく交付(処分行為)
相手が畏怖に基づいて自ら財物を渡し、又は利益を移転させることが必要です。相手の処分行為がある点で、意思に反して奪う強盗罪とは異なります。
故意・不法領得の意思
暴行・脅迫により相手を畏怖させて財産を交付させ、又は財産上の利益を得る意思(不法領得の意思)が必要です。
4. 強盗罪・詐欺罪との違い
恐喝罪は「反抗を抑圧しない程度」の暴行・脅迫による点で、反抗を抑圧して奪う強盗罪、だまして交付させる詐欺罪と区別されます。
| 罪名 | 手段 | 財産移転の態様 | 法定刑 |
|---|---|---|---|
| 恐喝罪 | 暴行・脅迫(反抗を抑圧しない程度) | 畏怖に基づく処分行為 | 10年以下の拘禁刑 |
| 強盗罪 | 暴行・脅迫(反抗を抑圧する程度) | 意思に反する強取 | 5年以上の有期拘禁刑 |
| 詐欺罪 | 欺罔(だます) | 錯誤に基づく処分行為 | 10年以下の拘禁刑 |
暴行・脅迫が相手の反抗を抑圧する程度に達しているかどうかが、恐喝罪と強盗罪を分ける中心的な基準です。
5. いまお困りの方へ — 弁護方針・関連情報
具体的な弁護方針は同じ罪名の弁護方針ページで、いまのお困りごとに応じた対応はニーズ別ページでご案内しています。
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出典・参考
この記事の担当弁護士: 本田 昭夫(愛知県弁護士会 / 弁護士法人中部法律事務所) → 当事務所の弁護士紹介はこちら
最終確認日: 2026年7月
※本記事の条文・施行日の記載は、2026年7月時点で施行されている法令に基づきます。個別の事案については弁護士にご相談ください。