強盗(ごうとう)
強盗罪とは、相手の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を用いて財物を強取し、又は財産上不法の利益を得る(他人に得させる)犯罪で、法定刑は 5年以上の有期拘禁刑 です(刑法第236条)。法定刑の下限が高く、宣告刑が3年を超えると執行猶予を付すことができない(刑法第25条)ため、法定刑の減軽などが問題になる重い類型です。本ページでは、構成要件、恐喝罪との違い、拘禁刑改正のポイントを整理します。
1. 強盗罪とは — 全体像と拘禁刑改正
強盗罪は、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を用いて財物を奪う(強取する)財産犯です。暴行・脅迫がその程度に達している点で、恐喝罪と区別されます。
強盗罪は、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫を用いて財物を奪い(強取)、又は財産上不法の利益を得る犯罪です(刑法第236条第1項が財物、第2項が財産上の利益=二項強盗)。暴行・脅迫が「相手の反抗を抑圧するに足りる程度」に達している点で、反抗を抑圧しない程度の暴行・脅迫による恐喝罪と区別されます。この程度に達しているかは客観的に判断され、現実に被害者の反抗が抑圧されたかどうかは独立の要件ではありません。
窃盗犯人が、財物の取り返しを防ぐ、逮捕を免れる、罪跡を隠すなどの目的で、反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫を加えた場合も強盗として扱われます(事後強盗、刑法第238条)。
令和4年法律第67号により、令和7年6月1日以降の行為には「懲役」に代わる新たな自由刑「拘禁刑」が言い渡されます。施行日前の行為は経過措置により従前どおり「懲役」となるため、判決書の刑種表記が事件により異なります。
2. 強盗罪の法定刑と公訴時効
法定刑は5年以上の有期拘禁刑です。未遂・予備も処罰され、公訴時効(起訴できる期限)は10年です。他の財産犯と異なり親族相盗例の適用はありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 罪名 | 強盗罪 |
| 法令・条文 | 刑法第236条 |
| 法定刑 | 5年以上の有期拘禁刑(経過措置中の事件は有期懲役) |
| 未遂 | 処罰される(刑法第243条) |
| 予備 | 処罰される(刑法第237条) |
| 公訴時効 | 10年(刑事訴訟法第250条第2項第3号) |
| 親族間の特例 | 適用なし(親族相盗例の準用なし) |
有期拘禁刑の上限は20年(刑法第12条)で、強盗罪は「5年以上」と下限が高く定められた重い罪です。宣告刑が3年を超える場合は執行猶予を付すことができないため(刑法第25条)、法定刑の減軽(酌量減軽など)が問題になります。強盗の機会に人を負傷・死亡させた場合は強盗致死傷罪(刑法第240条)となり、法定刑・公訴時効ともにさらに重くなります。
3. 強盗罪の構成要件 — 3つの要素
強盗罪の成立には、(1)反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫、(2)財物の強取・利益の移転、(3)故意・不法領得の意思が必要です。暴行・脅迫がその程度に達していたかは客観的に判断され、現実に反抗が抑圧されたことは独立の要件ではありません。
反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫
相手の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫を用いたことが必要です。その程度に達しているかは、行為の態様や状況を踏まえて客観的に判断され、現実に被害者の反抗が抑圧されたかどうかは独立の要件ではありません。
財物の強取・利益の移転
暴行・脅迫を用いて財物を奪い、又は財産上の利益を得ることが必要です。強盗罪と恐喝罪を分けるのは被害者の処分行為の有無ではなく暴行・脅迫の程度です。もっとも、強盗罪は被害者の処分行為を必ずしも必要としない点でも恐喝罪と異なります(財産上の利益を得る二項強盗では、被害者の行為を介して利益が移転する場合もあります)。
故意・不法領得の意思
暴行・脅迫によって財物を奪う認識と、不法領得の意思が必要です。
4. 恐喝罪・窃盗罪との違い
強盗罪は「反抗を抑圧する程度」の暴行・脅迫で奪う点で、反抗を抑圧しない程度の暴行・脅迫による恐喝罪、暴行・脅迫を伴わない窃盗罪と区別されます。
| 罪名 | 手段 | 財産移転の態様 | 法定刑 |
|---|---|---|---|
| 強盗罪 | 暴行・脅迫(反抗を抑圧する程度) | 意思に反する強取 | 5年以上の有期拘禁刑 |
| 恐喝罪 | 暴行・脅迫(反抗を抑圧しない程度) | 畏怖に基づく処分行為 | 10年以下の拘禁刑 |
| 窃盗罪 | 窃取(暴行・脅迫を伴わない) | 意思に反する占有移転 | 10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
暴行・脅迫が相手の反抗を抑圧する程度に達しているかどうかが、強盗罪と恐喝罪を分ける中心的な基準です。この評価は法定刑に大きな差をもたらすため、初動段階での事実整理が重要になります。
5. いまお困りの方へ — 弁護方針・関連情報
具体的な弁護方針は同じ罪名の弁護方針ページで、いまのお困りごとに応じた対応はニーズ別ページでご案内しています。
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出典・参考
この記事の担当弁護士: 尾中 翔(愛知県弁護士会 / 弁護士法人中部法律事務所) → 当事務所の弁護士紹介はこちら
最終確認日: 2026年7月
※本記事の条文・施行日の記載は、2026年7月時点で施行されている法令に基づきます。個別の事案については弁護士にご相談ください。