建造物等以外放火罪(けんぞうぶつとういがいほうかざい)
【法令・条文】
刑法第110条
第1項
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第2項
前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第109条
第1項
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
第2項
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
【法定刑】
- 1年以上10年以下の懲役(第1項)
- 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金(第2項、 自己所有物の場合)
【解説】
建造物等以外放火罪とは、刑法第108条(現住建造物等放火罪)、刑法第109条(非現住建造物等放火罪)の各罪の客体に該当しない物を、焼損する犯罪です。
建造物等以外放火罪の対象は、自動車、航空機、人の現在しない汽車・電車、建造物に該当しない門・堀・橋・畳等です。
建造物等以外放火罪の成立には、建造物等が、「焼損」(火が建造物等に燃え移って燃焼する状態になること)することが必要です。
建造物等以外放火罪(刑法第110条第1項)の成立に、放火した者が公共の危険の発生を認識することを必要とするかという点につき、判例は公共の危険の発生の認識がなくても建造物等以外放火罪が成立するとの立場を取っています。
建造物等以外放火罪(刑法第110条)には、未遂罪(放火行為に着手したことによる罪)や予備罪(放火の準備行為をしたことによる罪)はありません。