背任(はいにん)
【法令・条文】
刑法第247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
【法定刑】
- 5年以下の懲役
- 50万円以下の罰金
【解説】
背任罪は、財産上の事務処理を任された人が、自分又は第三者の利益のため又は事務処理を委託した本人に損害を与える目的で、その任務に反する行為をして、本人に損害を与える罪です。
背任罪の成立には、結果として本人に財産上の損害が発生したことが必要です。
また、任務に背くことや損害を与える認識(故意)の他に、自分や第三者の利益を図る目的又は本人に損害を与える目的が必要とされています。
会社の取締役などの役員が、会社に対する背任行為で損害を与えた場合、特別背任罪として、さらに重い刑罰の対象となります(会社法960条。10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、またはそれらの併科)。
背任罪は、未遂犯への処罰規定の適用があります(刑法第250条)。
また、親族相盗例(しんぞくそうとうれい)と呼ばれる、親族間での窃盗に関する特例の準用があります。これにより、親族間(配偶者、直系血族又は同居の親族)で行われた背任は、刑が免除されます(刑法第251条、第244条)。