追起訴(ついきそ)
【定義】
追起訴とは、ある刑事事件の裁判が係属中に、同じ被告人の別の事件を同じ裁判所に起訴して、併合審理を求めることです。
【解説】
被告人に余罪があることがわかった場合、余罪についても捜査を進めて起訴されることがあります。それが最初の起訴に間に合えば一本にまとめ、起訴状には「被告人は 第一 ・・・し 第二 ・・・したものである。」などと並列的に記載されます。この場合は、最初から当然に複数の事件が併合審理されます。
最初の起訴には間に合わない場合、後から別の起訴状を提出します。そして、先に起訴した事件と併合して審理することを求めます。実務上、追起訴の起訴状に併合審理を求める旨の付箋を貼ることが多いようです。通常、裁判所はこれを受けて併合決定し、その後一つの裁判手続で複数の事件を審理していくことになります。
追起訴の予定がある場合には、検察官があらかじめその旨を明らかにすることが多いです。ただし、最初の起訴状そのものにそれを記載することは、余事記載になるため許されません。実務上は、進行に関する意見などとして、事実上裁判所や弁護士に告げられていることが多いと思われます。
追起訴予定があることがわかっている場合、二度手間にならないように、裁判所の判断で公判期日を調整することがあります。つまり、第1回公判期日で冒頭手続が終わり証拠調べに入れる段階になっても、追起訴を待つために第2回期日を通常より遅めに設定し、第2回には追起訴分の冒頭手続と証拠調べを行うなどです。
【参考条文】
刑事訴訟法第256条
第1項 公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。
第2項 起訴状には、左の事項を記載しなければならない。
一 被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
二 公訴事実
三 罪名
第3項 公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。
第4項 罪名は、適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し、罰条の記載の誤は、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り、公訴提起の効力に影響を及ぼさない。
第5項 数個の訴因及び罰条は、予備的に又は択一的にこれを記載することができる。
第6項 起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない。
刑事訴訟法第313条
第1項 裁判所は、適当と認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、決定を以て、弁論を分離し若しくは併合し、又は終結した弁論を再開することができる。
【関連用語】