業務上失火罪(ぎょうむじょうしっかざい)
【法令・条文】
刑法第117条の2
第116条又は前条第1項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金に処する。
第116条
第1項
失火により、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。
第2項
失火により、第109条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第110条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
第117条
第1項
火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第109条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第110条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
【法定刑】
3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金
【解説】
業務上失火罪とは、業務上必要な注意を怠り、または重過失により失火を生じさせる犯罪です。
本罪における業務とは、職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位をいいます。
具体的には、①調理師やボイラーマンのように本来的に火気の使用を職務内容とする者や、②石油販売業者のように引火性の高い危険物を職務内容とする者や、③夜警員のように出火の防止を職務内容とする者については、「業務」者といえます。
家庭の主婦や、愛煙家などについては、「業務」者とは認められていません。
裁判例上、「重過失」と認められたものとして、石油ストーブの燃料にガソリンを使用した事案があります(東京高判平元・2・20)。