準強制性交等罪(じゅんきょうせいせいこうとう) ※改正により不同意性交等罪に変更
【法令・条文】
刑法旧第178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
【法定刑】
5年以上の有期懲役
【解説】
準強制性交等罪は、相手の心神喪失や反抗不能な状況を利用したり、暴行や脅迫などの手段を問わず、そのような状況にさせた上で、性交等をする罪です。準強制性交等罪は、人の性的自由に対する罪、性犯罪の1つです。
準強制性交等は、暴行や脅迫を手段として性交等をする強制性交等と同じ法定刑です。
準強制性交等罪は、平成29年の刑法改正により非親告罪になりました。被害者の告訴がなくても起訴することができます。
準強姦罪は、未遂犯への処罰規定があります。
また、令和5年の刑法改正により、不同意性交等罪に変更されました。
施行日である令和5年7月13日以降の行為については、改正法の適用を受け、不同意性交等罪として処罰されることになります。
その場合、刑罰は有期拘禁刑になります(ただし、拘禁刑に関する改正法の施行までの間は、従前どおり有期懲役刑となります)。
※拘禁刑は、刑務作業が義務ではなくなる等、受刑者に合わせた柔軟な処遇が可能な刑罰です。
改正刑法176条
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
同177条
前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。