事件別弁護方針

振り込め詐欺

刑法第246条

・第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
・第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(参考条文)
刑法第60条 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法第62条第1項 正犯を幇助した者は、従犯とする。

振り込め詐欺とは

振り込め詐欺は、詐欺罪の一態様で、だます手口・話の仕方の特徴から、オレオレ詐欺、還付金詐欺などとも呼ばれています。

全国的に多数の被害が発生し、被害金額が多額であることなどから、大きな社会問題となっています。

また、多くの事件で、組織的に犯行が行われ、役割が細かく分けられていることもあります。例えば、電話をかける人(複数名の場合も)、お金を受け取る人・ATMなどで引き出す人、携帯電話や振り込み先の口座を貸す人などの役割です。

大きな社会問題である振り込め詐欺については、社会が振り込め詐欺防止・撲滅のために動いていることもあり、捜査機関や裁判所も厳しい処分を科す傾向にあります。

なお、振り込め詐欺などの犯罪に利用されることを認識して金融機関で口座を開設することは、それ自体で詐欺罪が成立します。

弁護方針1:被害者との示談

振り込め詐欺のような社会問題となっている犯罪であっても、被害者との示談や被害弁償をしたか否かが、警察の捜査方針、検察官の起訴・不起訴の判断、裁判所の執行猶予や減刑の判断に非常に大きな影響を及ぼします。

そのため、弁護人は、被害者との示談成立を目指し、弁護活動を行います。

示談が難しい場合は、被害弁償金を受け取ってもらうよう努めます。

当然のことながら、被害者に謝罪することも大切です。

弁護方針2:起訴されない(不起訴)/執行猶予・減刑

振り込め詐欺は、組織的に犯罪が行われる特徴があり、また、このような組織的犯罪事件(共犯事件)に加担した場合、逮捕・勾留されることが通常です。ご本人が関与した事件だけでなく、その組織が行った犯罪の全容・組織の全容が明らかにならない限り、釈放・保釈されないことも多いです。

振り込め詐欺事件では、被害者との示談や被害弁償の有無のほか、被害金額の大小、詐欺の手口や悪質性、事件関与に至った経緯や目的、実際の関与の程度、過去の犯罪歴・前科(特に同種の前科)など、様々な事情によって、処分や量刑が決まります。弁護人は、前述のとおり被害者との示談や被害弁償を図るとともに、警察や検察官と協議し、起訴されない(不起訴・前科がつかない)ことを目指した弁護活動を行います。

起訴された場合は、刑事裁判手続で被害者との示談、被害弁償、その他有利な情状を主張し、執行猶予を目指した弁護活動を行います。

 

弁護方針3:振り込め詐欺の疑いをはらす/無罪を勝ち取る

振り込め詐欺について、あらぬ疑いをかけられた方は、これを争う必要があります。弁護人は、被疑者・被告人とされた方の言い分の主張立証を尽くし、疑いをはらす/無罪を目指した弁護活動を行います。

 

 

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