刑事事件で家族ができること、家族の権利
家族が刑事事件を起こした場合、本人以外の家族ができることは、たくさんあります。
刑事事件で家族ができることや家族の権利、それらの実現方法・手続きをまとめました。
社会生活のフォロー
ご本人が逮捕・勾留されると、ご本人はそれまでの日常生活・社会生活から隔絶されてしまいます。
会社や勤務先、学校を休まなければならなくなりますが、その連絡等をご本人ですることができません。無断欠勤等にならないよう、ご家族がご本人の社会生活をフォローすることができます。
接見・面会・差し入れ
家族は、ご本人が勾留されている場合、接見・面会することができます(接見等禁止決定が出ている場合を除く)。
接見や面会は、逮捕段階では認められませんが、逮捕段階であっても、一定の現金や衣服、書籍などを差し入れることができます。
ご家族が逮捕されたなどと警察から連絡が入った場合、留置されている警察署、容疑の内容のほか、接見や面会のルールなどを確認し、接見・面会・差し入れするようにしてください。
情状証人
ご本人の生い立ち、日常での様子や生活状況、性格などを情状証人として刑事裁判で証言していただくことで、ご本人に有利な事情や再犯可能性がないことなどが明らかとなり、刑が軽くなる可能性があります。
このような事情は、ご家族(特に同居のご家族)が詳しいこともあり、刑事事件でご家族ができることの大きな1つといえます。
裁判に出廷できない事情がある場合等、嘆願書等を提出することもあります。
身元引受人
ご家族(特に同居のご家族)が身元引受人となることで、逮捕や勾留からの釈放、保釈、刑事裁判で執行猶予付き判決が得られる可能性が高まります。
身元引受書を提出する方法や、情状証人として出廷した際に身元引受人となることを証言する方法があります。
弁護人の選任
ご家族(配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹)は、ご本人様とは独立の権限として、弁護人を選任する権利を有しています(刑事訴訟法第30条2項)。
これにより、ご本人にお金がないなどの場合でも、ご家族が弁護人を選任することもできます。
補佐人
ご家族は、刑事裁判の補佐人になることができます(刑事訴訟法第42条)。
補佐人とは、刑事裁判を補助する人のことです。裁判所への届け出が必要です。
勾留通知を受ける
ご本人が勾留された場合、直ちに弁護人に通知されます。弁護人がいない場合、ご本人が指定するご家族等の内の1人に、勾留されたことが通知されます(刑事訴訟法第79条)。
勾留理由開示請求
ご家族は、ご本人が勾留されている場合、勾留されている理由を開示するよう請求する権利があります(刑事訴訟法第82条2項)。
勾留理由開示請求書を裁判所に提出すると、ご本人出廷の上、公開の法廷で、勾留理由が開示されます(同法83条)。
勾留取消請求
ご家族は、勾留の理由や必要がなくなった場合、裁判所に対して、勾留の取消を請求する権利があります(刑事訴訟法第87条)。
勾留取消請求書を裁判所に提出して請求します。
保釈請求
ご家族は、被告人勾留に対して、保釈請求する権利があります(刑事訴訟法88条)。
※保釈請求の手続き・流れについては、こちら「釈放・保釈の違い」
以上のほかにも、ご本人が亡くなられた場合の再審請求など、刑事事件・刑事裁判では、ご家族様には様々な権利があり、また、ご本人様のためにできる大切な役割があります。