控訴事件
控訴事件とは
第1審の判決に不満・不服がある場合、控訴して、もう一度裁判所の判断を仰ぐことができます。
ただし、控訴審は、以下のような点で、第1審裁判とは手続きが異なっています。
- 控訴の申し立ては、第1審裁判所の判決言い渡しから、14日以内に行う必要があります。
- 控訴が認められ、控訴審裁判所に改めて判断を仰ぐには、控訴の理由が必要であり、その理由は、刑事訴訟法に列挙された理由に限られています。第1審判決に不満や不服があっても、ここに記載した理由にあたらなければ控訴は棄却されます。
- 控訴審では、「控訴趣意書」がとても大切です。控訴趣意書に、控訴理由があることを簡潔に明示し、その証拠資料も添付します。そして、控訴趣意書を基に控訴審が行われます。
- 控訴しても、第1審判決より重い判決になることはありません(不利益変更禁止。検察側が控訴した場合を除く)。
- 控訴審では、第1審弁論終結後に発見されたなど、やむを得ず第1審の口頭弁論終結時までに提出できなかった証拠でなければ、証拠として提出できません。
控訴事件における弁護方針:第1審判決を分析、問題点を明らかにし、適正な判決を求める
控訴審に合わせた主張・立証活動を行い、不満・不服と感じた第1審判決を破棄し、適正な判決内容の実現を目指します。
具体的には、まず、被告人とされた方が第1審判決のどの点に不満・不服を感じて控訴に至ったかをよく把握します。
そして、第1審判決および裁判の記録を精査し、第1審裁判所がそのような判断に至った理由・証拠等を検討します。
第1審裁判の問題点を明らかにし、それを是正するための主張・立証活動を行います。控訴趣意書を作成して必要な主張を行い、必要に応じて新たな証拠(第1審裁判では取り調べられなかった証拠)の取り調べを請求します。
控訴をするためには
控訴をするためには、刑事訴訟法が定めた以下の控訴の理由が必要です。
量刑の不当(第381条)
法定刑(処断刑)の範囲内とはいえ、第1審で宣告された刑が、不当に重い場合
事実誤認(第382条)
判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があった場合。
たとえば、主犯でないのに主犯と認定されたなどの場合です。事実の認定に誤りがあっても、判決に影響を及ぼさない重要でない事実である場合には、控訴の理由になりません。
法令適用の誤り(第380条)
判決に影響を及ぼすことが明らかな、法令(実体法)の解釈や適用に誤りがあった場合。
訴訟手続きの法令違反(第379条)
判決に影響を及ぼすことが明らかな、訴訟手続きの法令違反があった場合。
たとえば、証拠として取り調べできない決定的証拠を取り調べて、判決が出された場合など。
以上のほかに、再審事由がある場合(第383条1号)、法律に従って第1審裁判所を構成しなかったことなど、刑事訴訟法第377条1号ないし3号、第378条1号ないし4号に定める重大な訴訟手続きの違反があった場合も、控訴の理由にあたります。
控訴事件と刑事弁護の流れ
①控訴の申立
第1審判決宣告から14日以内に、第1審裁判所に、控訴申立書を提出します。
・(第1審から刑事弁護を担当していた場合)第1審判決宣告後、控訴の意思をご本人様に確認します。
・控訴審の手続き・流れ、事件の見通し(控訴審判決の見通し)、控訴審での対応などを説明・アドバイスします。
・控訴申立書を作成、第1審裁判所に提出します
②控訴趣意書の作成・提出
控訴を申し立てると、第1審裁判所から控訴審裁判所へと事件が移り、控訴審裁判所から、控訴趣意書の提出期限が決められます。
決められた期限内に、控訴趣意書を提出します。
・ご本人様と接見・面会・打ち合わせ等を行い、控訴に至った理由、第1審判決の不満・不服点をよく理解し、控訴趣意書(控訴の理由)の骨子を組み立てます。
・ご本人様の主張、第1審判決ないし第1審裁判の記録を精査・分析し、控訴趣意書を作成・提出します。
・控訴審にて取り調べ可能な証拠の収集を行い、証拠調べ請求を行います。
③控訴審
控訴審が開かれ、控訴趣意書に基づいた弁論、事実の取り調べ等が行われます。
・弁護士以外を弁護人に選任することはできません。
・控訴趣意書に基づいた弁論等、法廷での弁護活動を行います。
弁護士法人中部法律事務所は、名古屋駅前徒歩4分の弁護士・法律事務所です。名古屋エリアの各地方裁判所における控訴審のほか、名古屋高等裁判所での控訴事件のご依頼も承っています。第1審の刑事弁護担当していない、控訴審からのご依頼も受け付けています。
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